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『源氏物語~追憶』の和歌を10倍お楽しみください!     
 
  和歌・漢詩協力/立山晶子さんの解説

リスナーさんからドラマCD『源氏物語~追憶』についてのたくさんのご感想を頂きました。
ありがとうございました。その中で「詠まれた和歌を文字で知りたい!」というお声を頂きましたので、
こちらで各トラックごとに詠まれた和歌たちとその意味を紹介いたします。
皆さんもこれを見ながらCDを聴いて、声優さんの素敵なお声と平安の雅な世界とのコラボを楽しんで下さいね。


 トラック1「幻」

1・源氏「死出の山 越えにし人を 慕ふとて あとを見つつも なほ惑ふかな」

あの世に行ってしまった紫の上を懐かしく思うあまりに、その筆跡を見ると、やはり悲しみにくれて心が乱れてしまうことだ。


2・空蝉「身の憂さを 嘆くにあかで あくる夜は とり重ねてぞ 音も泣かれける」

わが身のつらさを嘆いても嘆き足りないうちに明ける夜…あの鶏が鳴くように私も声を上げて泣かずにはいられません。
(源氏と思いがけず契ってしまった人妻空蝉が、後悔とときめきを感じながら詠んだ歌です。)


3・夕顔「光ありと 見し夕顔の 上露は たそがれ時の 空目なりけり」

輝くように美しいと見えた夕顔の露は、たそがれ時の見間違いだったのですね。
(ちょっと解釈に幅がある歌ですが、イケメンと自負する源氏が「私の顔はどう?」と尋ねた時に、夕顔が「大したことはないわ」と返したものと言われています。夕顔の意外な大人の余裕を感じさせる歌。)


4・朧月夜「心いる 方ならませば 弓張りの 月なき空に 迷はましやは」

真心のある方ならば、月のない空でも迷わないように、あなたも迷わずに私のところに来るはずでしょう。
(積極的で自信家の朧月夜らしい歌です。).


5・六条御息所「影をのみ みたらし川の つれなきに 身のうきほどぞ いとど知らるる」

私はあなたの姿だけ見ようとしているのに、あなたは川が流れるようにそっけなくて、わが身のつらさをますます思い知らされました。
(年下の恋人・源氏の心が離れて行くのを嘆いた歌です。)


6・源氏「かきつめて 見るかひもなし 藻塩草 同じ雲居の 煙ともなれ」

掻き集めて見ても、もうその甲斐もないこの手紙たちよ、燃えてあの紫の上と同じ煙となってしまえ。


7・源氏「尽きもせぬ 心の闇に くるるかな 雲居に人を 見るにつけても」

尽きることのない恋の思いに何も見えなくなってしまった。手の届かないものとなったあの方を見つめるにつけても、つらい気持ちは尽きない。
(手の届かない皇后となってしまった藤壺の宮を恋い慕って悩む源氏の歌です。)


8・源氏「篝火に たちそふ恋の 煙こそ 世にはたえせぬ 炎なりけれ」

篝火から立ち昇る恋の煙は、この世から消えることのない恋の炎なのですよ。私の恋心もわかって下さい。
(養女となった玉鬘に心惹かれて、源氏は養父という立場を忘れて言い寄っています。これは源氏が須磨から帰京した後のものです。)


9・源氏「もの思ふと 過ぐる月日も 知らぬまに 年もわが世も 今日や尽きぬる」

もの思いに、長い歳月が流れたのも気付かないうちに、今年も私の命も今日で終わってしまうのか。
(出家を決めた源氏の、いわば辞世の歌です。)。




トラック2「藤壺」

10・桐壺更衣「限りとて 別るる道の 悲しきに いかまほしきは 命なりけり」

もう私の命もこれまで…死別の道が悲しいにつけても、 私が行きたい道は生きる道だったのです。


11・源氏「見てもまた 逢ふ夜まれなる 夢のうちに やがて紛るる 我が身ともがな」

今こうして逢っていても再び逢う夜はままならないのだから、このまま夢の中に消えてしまいたい。


12・藤壺「世語りに 人や伝へん たぐひなく 憂き身をさめぬ 夢になしても」
世間の人は語り草として罪深い私たちのことを伝えるのではないでしょうか。たとえ私たちが、この上なくつらい身の上を、夢の中のことと思いこんでしまったとしても。




 トラック3「夕顔」

13・夕顔「心あてに それかとぞ見る 白露の 光そへたる 夕顔の花」
もしかしてあなたは源氏の君ではと思っていますわ。白露が美しさを添えている夕顔の花のように美しいあなたのお顔を見て。


14・夕顔「前の世の 契り知らるる 身の憂さに 行く末かねて 頼みがたさよ」

前世からの運命もはかないものと思うつらいわが身ですから、この先の幸せを頼りにできるとは思われませんわ。


15・源氏「見し人の 煙を雲と 眺むれば 夕べの空も 睦まじきかな」

死んだ夕顔を焼く煙を雲だと思って空を眺めると、そこに夕顔を感じて普段なら寂しい夕暮れの空も懐かしく思われてしまう。




 トラック4「六条御息所」

16・六条御息所「袖濡るる こひじとかつは 知りながら 下り立つ田子の みづからぞうき」
泥で濡れるとわかって田に下り立つ農夫のように、涙で袖を濡らす苦しい恋の道とわかって、この恋にのめり込んでしまった我が身が悲しいことです。


17・六条御息所「嘆き侘び 空に乱るる 我が魂を 結びとどめよ したがひのつま」

着物の裾の端を結び合わせて下さい。源氏の君への恋の嘆きのあまりに、私の魂が生き霊となってこの体からさまよい出ないように。




 トラック5「葵の上」

18・源氏「限りあれば 薄墨衣 浅けれど 涙ぞ袖を ふちとなしける」
決まりがあるので今は薄い色の喪服を着ているが、葵を失った悲しみの涙に染まって、この喪服の袖は濃い淵のような色になってしまった。


19・源氏「暁の 別れはいつも 露けきを こは世にしらぬ 秋の空かな」

明け方に恋人と別れる時はいつも露のように涙がこぼれるものであるけれど、今朝の六条との別れはこれまでに見たことのないくらいに悲しい秋の空だ。




 トラック6「若紫」

20・源氏「おもかげは 身をも離れず 山桜 心の限り とめて来しかど」
山桜のようなあの姫君(紫の上)の面影が私の心から離れません。心の全てをそちらに置いてきてしまったけれど…ぜひ、引き取りたい!
(この「面影」には、藤壺の宮の面影も重ねられています。)


21・源氏「はかりなき 千尋の底の 海松ぶさの 生ひゆく末は 我のみぞ見む」

果てしなく深い海底に生える海松のように、髪も豊かに、身も美しく成長していく紫の上の将来は、私だけが見届けよう。


22・源氏「あやなくも 隔てけるかな 夜を重ね さすがに馴れし 夜の衣を」
どうしてこれまで幾晩も幾晩も何でもない間柄でいたのだろうね。ずっと互いに夜の衣で隔てながらも慣れ親しんできたのにね。




 トラック7「須磨」

23朧月夜「照りもせず くもりもはてぬ 春の夜の 朧月夜に 似るものぞなき」

くっきりと照るわけでもなく、すっかり曇ってしまうわけでもない、そんな春の夜の朧月夜ほどすばらしいものはない。
(これは朧月夜の作ではなく、朧月夜が大江千里の古歌を口ずさんでいるものです。)


24・源氏「をち返り えぞ忍ばれぬ 郭公 ほの語らひし 宿の垣根に」

昔を振り返ってきっと私を思い出してくれるね。あなたの家の垣根でひそかに語り合ったホトトギスの声を、私の声を。


25・源氏「橘の 香をなつかしみ 郭公 花散里を たづねてぞ訪ふ」
橘の香が懐かしくて、ホトトギスと一緒に、私がこの花の散ったお邸を訪ねて参りました。花散里の君、私を迎え入れて下さいね。


26・紫の上「惜しからぬ 命にかへて 目の前の 別れをしばし とどめてしがな」

私の命など惜しくありません。この命を捧げてでもあなた源氏の君との別れを引き留めたいのです。


27・源氏「生ける世の 別れを知らで 契りつつ 命を人に 限りけるかな」
たくさんの死別を経験してきた私ですが、この世に生き別れというものがあるとは知りませんでした。命のある限り一緒にいようと、あなたに約束してきたのに。


28・朧月夜「涙川 うかぶ水泡も 消えぬべし 流れてのちの 瀬をも待たずて」

須磨に流されたあなたが涙川なら、そこに浮かぶ私は水泡ですわ。私はあなたのお帰りを待つことなく、悲しくて死んでしまうことでしょう。


29・藤壺「見しはなく あるは悲しき 世のはてを 背きしかひも なくなくぞ経る」

夫としてお仕えした桐壺帝はもうこの世にはなく、この世にいらっしゃるあなたは悲しいことに遠い地にいらっしゃいます。私は出家した甲斐もなく、泣きながら暮らしているのですよ。


30・源氏「ふる里を 峯の霞は 隔つれど ながむる空は 同じ雲居か」
住み慣れた都ははるか遠い霞の彼方にあるのだけど、こうやって眺める空は都で見る空と同じなのか。いつかは帰れる時があるのだろうか。


この和歌集より、
また、もうひとつの「源氏物語」の世界を味わって頂ければ幸いです。
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